パレンケ遺跡訪問記(1)行き方、ツアー、ガイド

パレンケ遺跡訪問記(1)行き方、ツアー、ガイド

パレンケ遺跡訪問記(1)行き方、ツアー、ガイド

メキシコの遺跡というとテオティワカンやチチェン・イッツァが有名ですが、パレンケ遺跡には私はそれ以上に魅力を感じています。

メソアメリカ文明の中でもっとも好きな遺跡であり、この古代文明に興味を持つきっかけとなった場所でもあります。

今回はパレンケについて、私が訪れた際に利用したツアーやガイド情報を中心にまとめました。

訪問日:2019年7月、12月

目次

パレンケ遺跡とは?

メキシコ南東部チアパス州の山奥、密林の中に位置するマヤ文明の遺跡です。

紀元前100年頃から人々はこの地に村落を形成して住み始め、4世紀頃にかけて大きく人口が増加。5世紀にパレンケ王朝が成立したとされています。7世紀、パカル王の時代に最盛期を迎えますが、その後は他のマヤ王朝同様衰退し、9世紀末までに放棄されました。

18世紀にスペイン人により発見され、本格的に発掘調査が始まったのが1948年。そしてパレンケの名を一躍有名にしたのが、1952年の王墓発見でした。

碑文の神殿と呼ばれるピラミッドの内部から、パカル王の遺体を安置した石棺が見つかったのです。

石棺の壁面には王の両親を含む歴代王たちの浮き彫りが、石棺の蓋にはパカル王を描いた浮き彫りが、また墓室の壁面には石棺を守っているかのように9名の王の浮き彫りが施されていました。遺体に身につけられていた翡翠の装飾品も素晴らしいものでした。

パカル王の石棺のレプリカ
パレンケ遺跡博物館にある石棺のレプリカ

これまでメソアメリカ文明のピラミッドは、王墓であったエジプトのピラミッドとは異なり単なる神殿の基壇であると考えられていましたが、その定説を覆した大発見となりました。(メソアメリカのピラミッドの頂上には基本的に神殿が設けられています)

そして1987年、「古代都市パレンケと国立公園」としてメキシコで最初の世界遺産に登録されました。

パレンケ遺跡

今では本当に数多くの観光客が訪れるパレンケ遺跡ですが、ガイドのさんの話では現在までに発掘されたのは全体のわずか2%であり、残りはまだ森の中に眠っているのだそうです。

パレンケ遺跡の地図

行き方

遺跡への行き方は、ざっくり次の3通りになるかと思います。

  • サンクリストバル・デ・ラスカサスからツアー
  • ビジャエルモサからツアー
  • パレンケの町まで長距離バス + ミニバス(20分)

サンクリストバル・デ・ラスカサスの最寄り空港は、トゥストラ・グティエレス(TGZ)。サンクリストバルまでバス・タクシーで約1時間です。

私はこれまで2回パレンケに行きましたが、

  • 1回目:サンクリストバルからツアー
  • 2回目:ビジャエルモサからレンタカー

という方法を使いました。以下で、ツアー詳細についてまとめます。

ツアー

パレンケ遺跡とセットで2つの滝(アグアアスル、ミソルハ)を観光するのが一番よくあるツアーです。

サンクリストバル発ツアー

下記のツアーを利用しました。

  • パレンケ遺跡、アグアアスル、ミソルハのセット(バンで移動)
  • 入場料込みで、1人500ペソ(2019年7月)
  • 含まれていないのはパレンケ遺跡でのガイドと食事代
  • 朝4時ピックアップ、夜22時〜23時ホテル着

サンクリストバルからはパレンケツアーが多数出ています。どのツアー会社も内容はほぼ一緒なので、現地で値段を比較してツアーを申し込むのが良いかと思います。ただまぁ値段差も50〜100ペソ程度でほとんど変わらないと思うので、申し込めるところで申し込んじゃえばいいかなと。私はホテルで申し込んだので、ちょっと高めだったかもしれません。

謎なことに、メキシコのツアーはインターネット価格の方が、現地申し込みより高いということがよくあります。インターネットで英語で紹介されているツアーは、これまで見てきた限りほとんどそう。外国人狙いか...。現地申し込みの約2倍の値段です。
少なくともサンクリストバルであれば、前日に現地ツアー会社で申し込めば問題ありません。

ビジャエルモサ発ツアー

インターネットで下記のツアー情報がありましたが、利用しませんでした。

  • パレンケ遺跡、アグアアスル、ミソルハのセット(バンか車で移動)
  • 入場料、ガイド込みで、1人1,750ペソ(2019年12月、2名の場合。5〜8名で1,650ペソ)
  • 食事代は含まれない
  • 朝8時ピックアップ、18時半ホテル着

※追記(2021/9/11)こちらのツアー会社のサイトは現在削除されているようでした。

サンクリストバルに比べて利用客が少ないせいか、かなり高いです。問い合わせたところ、インターネット特別(高い)価格ではなく通常価格のよう。最低2人〜催行で、参加人数により車両タイプや金額が変わります。基本プライベートツアーみたいな感じになるんだと思います。

結局、これだけ高いのであれば、時間をコントロールされるツアーより個人で回ろうと考えてレンタカーを借りました。

レンタカー代は確か、空港貸出&返却・48時間で2,600ペソほど。遺跡入場料、ガイド料を合わせてもツアー(2名分)と同じくらいで、自分たちのペースで回れたので満足できる結果となりました。(私たちはビジャエルモサに滞在したので、空港からの移動やラ・ベンタ遺跡公園への移動にも便利でした)

安さだけで選ぶなら、ツアー・レンタカーではなく断然バスだと思います。ADOというバス会社だと、ビジャエルモサの空港からパレンケまで350ペソとなっていました。

ツアーの注意点

団体ツアーであれば常のことですが、遺跡の滞在時間は約2時間と決まっているのでパレンケを隅々まで見たい人には向きません。パレンケ遺跡は広い上にどの建築物にも見所やストーリーがありますが、全部は見られないと思います。(1日見て回ったとしても全部見るのは難しいかもしれない)

ただ、パレンケまで自力で移動するのは結構大変だし、2時間の滞在でも十分に魅力を感じられる遺跡なので、手軽に行くのであればサンクリストバルからツアーがベストかと思います。

サンクリストバル・デ・ラスカサスはすごく素敵な街です。近くにはマヤ族の伝統的な集落も残っていて、集落を見学するツアーも出ています。メキシコを旅行するなら、ぜひサンクリストバルに行ってパレンケやマヤ集落などを見てみると良いと思います。

なお、ツアーでは遺跡博物館に寄りません。冒頭で書いたパカル王の石棺は、実物は保存のために見学不可になっていて、レプリカがパレンケ遺跡博物館とメキシコシティの人類学博物館に設置されています。遺跡に行くだけではどんな墓室だったのか全くわからないので、ぜひいずれかの博物館で見てほしいです。

遺跡料金、ガイド(2019年版)

パレンケ遺跡 Zona Arqueológica Palenque
https://www.inah.gob.mx/zonas/163-zona-arqueologica-palenque
自然保護区への入場料:36ペソ
遺跡・博物館への入場:75ペソ

自然保護区への入場料はパレンケ遺跡に向かう途中の道で車内徴収され、紙のブレスレットを渡されます。

パレンケ遺跡

ガイドは遺跡入口に多数待機しており、ツアーで行っても個人で行っても、遺跡前で車から降りるとすぐに誰かが寄ってきます。声かけの順番がガイド内で決まってるのかも。

料金は、たくさんいるガイドたち共通のオフィシャル金額として、

  • 1時間:1,300ペソ
  • 2時間:2,600ペソ

の旗が掲げられています。ツアー訪問時(1回目)と個人訪問時(2回目)でどのようにガイドを頼んだか書いておきます。

ツアー訪問時のガイド

パレンケ遺跡のガイド

ツアー参加者全員がガイド説明小屋に案内され、1時間半のコースを1人150ペソで提案されました。安かったので申し込みました。10人中、7, 8人が参加していたと思います。ガイドはスペイン語。英語話者が多い団体であれば英語になりそうな雰囲気でした。

遺跡の説明は、かなり丁寧にしっかりしてもらえました。このガイドさんの説明のおかげで、パレンケやマヤ文明に興味を持つことになったと言えます。

当時はまだスペイン語も今ほどできなかったので説明の中で理解できなかった部分もあり、そこをまた自分で調べたりしてマヤの世界に入っていったなぁと振り返ってみて感じます。

しかしガイドの1時間半、前半は遺跡案内だったのですが後半はジャングル内の散歩でした。植物の説明や、土の下に埋まっている遺跡の説明をしてくれるのですが、目に見える形の遺跡はないなか道の悪いジャングルを歩くばかりで正直退屈でした。

しかも遺跡案内では宮殿見学を省略され、その点だけはがっかり。たぶんそれが、ツアーで来た人たち向けの短縮ガイドコースだったんだと思います。

もし! ツアーでこのようなガイドを申し込むことになった場合は、ジャングルに入る前に離脱して、個人で宮殿見学することを強くおすすめします。

パレンケ遺跡の宮殿
宮殿内には興味深い浮き彫りや構造物が多数あるので、絶対見るべき。

個人訪問時のガイド

2回目に個人で行ったときは、上記の旗通りの金額を提案されましたが、ガイドをつけるか迷っていた上に高額なので「払えない」と言っていたところ600ペソまで下がりました。。

こちらは値引きするつもりはなく、もっと安い価格のガイドさんを探すかガイドなしで回ろうと考えたのですが、「払えない」と言う度にどんどん値段が下がっていき... 最終的には申し込むことに。というか、申し込まないと離してくれなさそうなほどに引き下がられました。

ネット上の口コミを読む限り、探せば500ペソ〜やっているガイドはいるようです(ただしオフィシャルの資格は持ってないかも?)。

結局600ペソで頼んだガイドさん(オフィシャル資格あり)は、説明するところはしてくれたものの、安い客だとやる気が上がらなかったのか、碑文の神殿と宮殿を早足で説明して終了。。。えー。(普通のガイドだったら、十字架の神殿エリアまで来てくれると思います)

写真をちゃんと撮る暇もないほど駆け足だったので、宮殿には結局あとでもう一度戻り、写真を撮ったり別のガイドさんの話をこっそり聞いたりしてました。(宮殿内の説明も、かなり駆け足でいろいろ飛ばされてた…)

今回はメキシコシティの人類学博物館で買ったパレンケのガイド本(70ペソ)を買って来ていたので、あの短縮ガイドで600ペソだったら頼まなくてもよかったかもしれません。いや、宮殿だけをしっかり説明してもらうように頼んでも良かったかもしれない。

パレンケ遺跡のガイドブック
メキシコ国立人類学歴史研究所の発行なので、内容的には信頼できる。
パレンケの歴史、遺跡のルートが複数紹介されている。

私たちが遺跡を出る頃(お昼過ぎ)には、オフィシャル資格を持っていなさそうな少年が案内している光景も見かけました。見習いなのかもしれません。ガイドは入り口周辺にすごくたくさんいますが、こちらからガイドを選べる雰囲気はなく、基本的には向こうから寄ってくる人に頼む感じになると思います(寄ってくる人以外に頼むには、寄ってくる人を断って振りほどかなければならず、それがたぶんめちゃくちゃ大変)。

ガイドの注意点

ガイドを頼む場合。旗に書かれた金額から値下げは可能です。ただし値下げした場合は説明を適度に省略されるかもしれません。

英語・スペイン語がわかる方は、ぜひガイドを頼んで回ってみてください。パレンケの魅力をより一層感じられると思います。

英語・スペイン語に不安がある場合は、高額なガイドをわざわざ頼む必要はないと個人的には思います。ツアー等で安くなっているのであれば良いんですが。

マヤ文明という特殊な内容を外国語で理解するのはやっぱり結構難しいと思う。もっと安かったら、もっと気軽に頼めるんですけどね。

事前に日本語でいろいろ調べておいたり、地球の歩き方等の日本語ガイドを持って歩けば、コスパも良いし十分かなと思います。

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