スペイン語のリスニング勉強法② 課題を認識して対策する
スペイン語でリスニングができていないと感じるときは、次のうちどちらが自分の課題になっているかを考えてみると良いと思います。
- 音(単語)が聞き取れない
- 音(単語)は聞き取れるけど、文意がつかめない
実際のリスニングでは上記2つが組み合わさって難しいと感じることが多いと思いますが、自分の課題がどこにあるかを明確にすると対策も立てやすくなります。
今回は自分の学習経験をもとに、上記2パターンの課題に合わせたスペイン語のリスニング対策をまとめてみたいと思います。
目次
スペイン語リスニングにおける2つの課題
リスニング力を伸ばしたいと考えているとき、自分の中には「リスニングができていない」という思いがあるはずです。
まずはその「リスニングができていない」という状態を深掘りして、自分の課題を認識してみます。
課題の種類は冒頭に書いた通り、大きく分けて2つ。
- 音(単語)が聞き取れない
- 音(単語)は聞き取れるけど、文意がつかめない
スペイン語を始めたばかりの頃は、ほとんどの人が ① の状態だと思います。基本的にリスニング習得には「聴く」絶対量が必要なので、量が足りていない状態では音の聞き取りは難しい。
そして学習を進めるにつれて聞き取れる量は増えるものの、教材や会話テーマ等の難度が上がるため、② の状態も多くなる。
「聞き取れてるのにわからない。なんで?」とフラストレーションが溜まるというのが自分の経験による実感です。
スペイン語の音(単語)が聞き取れない課題への対策
まずは音(単語)の聞き取りの問題です。
単語そのものが聞き取れない場合もありますし、複数の単語がつながって発音されているから聞き取れない、という場合もあります。大人から語学を始めた人であれば、最初は全員が通る道です。
また、音を聞き取るには知識も必要です。基本的な文法や人称・時制ごとの動詞の活用をちゃんと知っておくことも必要ですし、単語の量もそうです。
知らないことは聞き取れません。
対策① 動詞を聞き取る(聞き取れるように頑張る)
最初に意識すると良いのは動詞。スペイン語は動詞の言語です(とネイティブの先生が言ってました)。
動詞は表現の軸なので、これが聞き取れると「誰が・何した」という一番重要なポイントがわかります。主語が明確にならないときもあるので、場合によりますが。
文全体が聞き取れない場合には「なんとか動詞だけでも」という意識で取り組んでいくのはおすすめです。
で、そのために動詞の活用を覚えるのは必須です。活用を覚えないと本当にスペイン語はどうにもならないので、覚えるしかありません。
自分の中で活用が曖昧になっている動詞は、聞き取れないと思います。聞き取れないというかありがちなのは、あれっ、これなんだっけ...? とフリーズしてるうちに次の音声がどんどん流れていって、わけわからなくなる。
私は中南米でスペイン語を学んだので、中南米では使われない2人称複数形(vosotros)の活用はかなり曖昧です。スペインのスペイン語で聞き取れないと感じる部分が、スクリプトを見ると基本動詞の2人称複数形だった... ということもよくあります。。
活用をしっかり覚えることは、リスニングの上ではやはりかなり重要だと感じます。
なのでここでの対策は動詞を聞き取るというのと同時に、動詞をより多く覚える、動詞の活用を完全に自分のものにするということも含みます。
対策② 文頭に意識を注ぐ
スペイン語や英語などは、文頭に重要なことが述べられるケースが多いです。動詞も文頭に来ることが多いですし、否定の「No」が来るのも文頭。疑問文の疑問詞(Qué, Cuál, Cómo など)が来るのも文頭。
文頭に注力することで、動詞も認識しやすくなってくると思います。
また、文頭の接続詞(Pero, Porque, Por eso など)も聞き取ることができると、文全体の流れを把握しやすくなります。逆説を述べたいのか、理由を述べたいのか、という意識を持てると聞き取れる量も自然と増えてくると思います。
日本語だと文の最後に重要なことが来るので、とにかく意識的に文頭に集中して聞いてみると少し変わってくると思います。
対策③ スクリプトを使い、なぜ聞き取れなかったのかを考える
リスニングのトレーニングとしては、基本的にスクリプトのある音声を使います。
私は、たとえば TED en Español のようなスピーチを聞く際は、数回くらい全体を通して聞いて、そのあとにスクリプトを確認し、さらに何度も繰り返して聞きます。
スクリプトでは自分の理解が正しいかを確認するのですが、聞き取れていなかった箇所はなぜ聞き取れなかったのかを考えるようにしています。
知らない単語だったのか、知らない活用だったのか、知っているのに聞き取れなかったのか、速すぎて聞き取れなかったのか、音がつながっていて聞き取れなかったのか。
知らない単語や活用だったら覚えるしかなく、また知っている単語なのに聞き取れなかった場合は、スピードの問題だったり、前後の動詞とつながって聞こえたというのが原因だと思うので、1つひとつ経験値を蓄えていくしかありません。
あとは、文全体をどういうリズムで発音するのか、どのように抑揚をつけるとスペイン語っぽいのかを感じていきます。
スクリプトを読んで一度文意を理解した音声は、繰り返し聞くことでスペイン語の音が意味と一緒に自分の中に入ってくる感じがします。
対策④ 単語量を増やす
これはリスニングに限った対策じゃないですが、知っている単語が増えれば、聞き取れる単語も増えるというシンプルな話です。知らないことは聞き取れないので。。
覚え方は人それぞれあると思います。単語帳とかもいろいろ売ってますよね。
私は単語帳は特に使わず、基本的にはリーディングとライティングで増やしていきました。(中南米でスペイン語を学んでいたので、日本の単語帳が手に入らなかったというのもあります)
何か読み物を読んで、わからない単語を辞書で調べる。自分で作文をしながら、こういうことを言うにはどういう単語やフレーズを使えばいいのか? と辞書で調べる。その繰り返しで覚えていきました。
向き不向きがあると思いますが、よければこちらの記事も参考にしてください。
単語帳を使わずに単語を覚える方法
スペイン語の音(単語)は聞き取れるけど、文意がつかめない課題への対策
音は聞き取れるけど、文意がつかめない場合。
だいたい、聞き取るべき文章が長いケースや、複雑な文法・時制が使われているケース、主語の省略が激しい場合や代名詞が多用されている場合(特に lo, se, le, les などの類)に起きてくるのではないかと思います。
リスニングスピードとスペイン語の複雑さに、頭の処理が追いついていない感じですね。
私はこの段階で、すごく苦労しました。今現在も苦労中ですが。。
こういう場合は音は聞き取れているのだから、あとは文構造が理解できれば良いということで、スペイン語文の意味をできるだけスピーディーに把握する力をつけていくのが良いと思います。
具体的には以下の対策です。
対策① リーディング量を増やす
たくさん読みます。リスニングに限らず、中級以上は語彙力の面でもスペイン語に触れる量を増やす意味でも、やはりたくさん読むべきだと思います。ネイティブの先生にもそのように言われました。
書き言葉では関係詞もよく使われますし、代名詞も多く出てきます。出てきた関係詞や代名詞が何を指すか、パッとわかるか。主語が省略されている場合、何が主語かがパッとわかるか。接続法を含む文章も、すぐに意味が頭の中に浮かぶか。動詞の活用や時制に違和感なく読み進めることができるか。
一文一文を日本語訳していく必要はないので、だいたいどういうことを言っているのか、意味が取れれば大丈夫です。できるだけ読み返さずに、頭から読んで文意を取ることを意識します。
リーディングを重ねることでスペイン語文の複雑な構造に慣れ、最終的にはできるだけ素早く、文頭から意味を理解できるようになるのが目標です。
リスニングの音声スピードで文意を取るのが最終目標ですが、その過程のリーディングでは速読に限らず精読するのでも良いと思います。
わからない単語があれば調べても良いし、わからない部分で立ち止まってじっくり考えても良い。難しい教材にトライするなら精読になるだろうし、やさしめの教材なら速読していく感じかと思います。
自分や教材のレベル感、好きなやり方を踏まえて、苦にならない方法でやれればいいのかなと思います。
精読のやり方については、こちらの記事にまとめました。
スペイン語の精読のやり方/リーディング勉強法【基礎力UP】
ちなみに私の場合、リーディング学習を始めた頃に使ったのはスペイン語圏で販売されていた子ども向けの本です。子どもが抱く世界の疑問に大人が答えるという形式の本。
(虫を食べたらどうなるのとか、どうして血は赤いのとか、どうして大人は命令するのとかw、どうして音楽は存在するのとか。子どもの質問って、単純なんだけど深い。。知らないことも多くて勉強になりました)
対象年齢はたぶん小学校低学年くらいだと思うんですが、接続法はばんばん使われてるけど文章・語彙はそんなに難しくないので、良い感じに読み進められました。
最初は子ども向けの物語を選んでみたんですが、物語・小説系は想像の世界が入るので自分の読解が正しいかどうかの判断ができず、挫折。日本だと子ども向けのスペイン語の本とかは売られていないのでどうしても教材になっちゃうと思うんですが、自分にあうものを見つけてみてください。
リーディングに使えるニュースサイトは以下で紹介していますので、こちらもよければ参考にしてください。
対策② リスニング後に話を要約する
長めの話を聞くときは、リスニング後に内容を要約します。(私は日本語でやっていますが、スペイン語でできればベストだと思います)
要約するためにはすべてを完璧に聞き取るよりも大まかにでも文意を取る必要があります。
結局この人は何が言いたかったのか、自分の言葉でまとめようとしてみるとどの程度自分が理解していたかを判断しやすいです。
気持ちの面で意識しているのは聞きながら文全体を俯瞰するつもりで聞くこと。
多少聞き取れない部分があっても意識を留めず、単語が聞き取れない場合はニュアンスだけでも(ネガティブなのかポジティブなのか、どういう感情の話なのか等)感じることが大事だと思っています。
話の要約はリスニングだけではなくリーディング・スピーキング練習にも有効です。私は一時期スペイン語の先生と、ニュースを読んで要約してスペイン語で話すというレッスンをしていました。
スペイン語での要約・スピーキングは難易度が一気に上がりますが、自分が理解できていない部分や足らない語彙など強化ポイントが明確になります。
さいごに:筋トレのように、どこを鍛えるトレーニングなのかを意識する
筋トレでは、そのトレーニングの意味を理解して、鍛える筋肉を意識することで効果が変わると言われていますよね。漠然とやるだけでは効果は現れにくいと。
語学でも一緒だと思うんですよね。
どういうところに課題があって、どういう目的でどんなトレーニングするか、を自分で意識しながら学習に取り組むと、やはり効果も変わってくるんじゃないかなと。
少なくとも意識していれば、効果の有無や大きさに自覚的になれます。
ただまぁ、毎日毎日、目的がどうの効果がどうのと意識するのは大変なので、学習スタート時に目的をきちんと整理しておいたり、中長期的に振り返れるよう節目を設けたりするっていうのが現実的な活動になってくるのかなと思います。
がんばりましょう。
リスニング教材として非常に優秀なオーディオブック Audible の紹介。おすすめです。
勉強法リスニング編①