DELE B1 の難易度と独学での勉強法(2023年1月合格)
先日受験した DELE B1 の結果が返ってきて、無事合格していました。
受験時は手応えがあまりなく、どの程度できているのか不安があったのでとりあえず合格していて良かったです。
今回の DELE B1 受験にあたっては基本的に独学で対策をしたので、使用した問題集や勉強法、勉強時間、結果を踏まえての振り返り、実際に感じた難易度などをこの記事でまとめます。
今回の試験結果
しっかり対策したつもりの作文の成果が出てなくて悲しい。
ちなみに試験結果は、2月1日の夜10時半頃にメールで届きました(2022年11月19・20日受験)。fecha de aprobación は1月30日になっていました。
セルバンテス東京の公式サイトでは「約3ヶ月後に DELE サイトの個人アカウント内で確認」となっていましたが、実際にはメールで受信できるみたいです。
参考:よくある質問 試験の結果はいつわかりますか? - インスティトゥト・セルバンテス東京
試験直後に書いた振り返り記事はこちらです。
DELE B1受験記~ 読解・リスニング 試験内容振り返り
DELE B1受験記~ 作文・面接 試験内容振り返り
目次
DELE B1 の難易度・試験形式
まず難易度に関しては、DELE B1 は中級ということでセルバンテス東京の公式サイトには次のように書かれています。
日常での身近な事柄や学習・仕事に関する既知の内容を理解することができる。
DELEスペイン語検定について セルバンテス文化センター東京
大抵の状況で適した応対ができ、既知のテーマや個人的に興味があること、経験、出来事、希望、願望、計画、意見など簡単に表現することができるレベル。
簡単に言うと、接続法現在を使って言いたいことを表現できるレベルだと私は捉えています。接続法過去は使えなくても良い。
なので時制としては直説法現在、現在完了、点過去、線過去、未来、過去未来、接続法現在までが範囲と考えて、ここまでの動詞の活用は必ず覚える必要があります。
B1 の試験形式と時間割は以下の通り。
科目 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|
読解 | 70分 | 25点 |
リスニング | 40分 | 25点 |
作文 | 60分 | 25点 |
面接(口頭試験) | 準備15分 + 面接15分 | 25点 |
合格基準は、読解+作文の合計点が30点以上、リスニング+面接の合計点が30点以上。それぞれ6割以上の得点が必要なことになります。
2022年の時間割はセルバンテス東京のサイトに記載されていました(2023年以降は変更になるかもしれません)。
試験時間割 セルバンテス文化センター東京
B1 の試験概要や合格基準等が述べられた公式ガイドも一応あります。(全文スペイン語で、読むには忍耐力が必要です。。)
Guías de examen DELE(B1)
DELE B1 独学での勉強時間・問題集
試験対策に取り組み始めたのは試験の1ヶ月半前からです。11月19日の受験で、10月から試験用の勉強を始めた感じですね。
受験前までの状況としては、約2年間スペイン語圏で暮らしたことがあり、その後約2年間日本で趣味として学習を継続していた感じです。
勉強方針は基本的に EDELSA の問題集を使った独学。時間を計って問題を解いて、答えを確認して、わからない単語の意味を調べたり、リスニングのスクリプトを確認したりという感じです。
机に向かった勉強時間としては、1ヶ月半のなかで EDELSA 模擬問題8回分をすべて終えるくらいの時間。なので、まぁまぁかかります。本当は3ヶ月前くらいから徐々にやるべきだったと思います。。
+アルファで、隙間時間にスペイン語音声を聞いたり、スペイン語のネットニュースを読んだり、お風呂の中で独り言を言ったりする時間がありました。
問題集の EDELSA は以前 DELE A2 を受験するときに一緒に買っていたもので、家にあるので使ったのですが、今回の受験を振り返ると EDELSA だけで対策するのは個人的にはあんまりおすすめしません。。。詳細は後述します。
DELE の過去問はないの? → ない。公式モデル問題はある
DELE の過去問は公開されていません。
公式のモデル問題が DELE サイト上でレベル別に公開されています。
Preparar la prueba DELE | Exámenes - Instituto Cervantes
解答用紙もあるので、印刷してマークの練習や作文練習に使えます。
公式モデル問題は印刷するのがちょっと大変だったので、私は今回 PC 画面上でざっと眺めただけで解くことはしませんでした。(A2 受験のときは解いた)
解答用紙は印刷して、問題集を解くときに使いました。
DELE B1 勉強法
読解
受験結果:20.83 / 25 点
読解対策としては、まず問題集に載っている模擬問題8回分をすべて解きました。
解くときは時間を計り、どの TAREA に何分かかったかをメモしていました。自分が各 TAREA を何分で解けそうかをざっくり把握しておくと、当日も TAREA 別の時間配分の目安にできます。
読解問題で重要なのは、単語量と読解スピードです。
単語については、問題集の中で出てきた知らない単語は意味を調べてできるだけ覚えるようにしました。
読解スピードに関しては、まずは出題形式に慣れることと、わからない問題に留まりすぎないこと。最後に見直しの時間を作れるようにします。
問題文を先に読むか設問を先に読むか、またどの TAREA から取り組むかなど、人によってやりやすい方法が違うと思うので、自分の解きやすい方法で模擬問題を繰り返して慣れていくことが大事だと思います。
私の場合、問題文(長文)を先に読んであとから設問を確認するほうが解きやすいのでそうしていました。TAREA 2 に関しては、設問の内容はだいたい問題文に書かれている順番になっているので、問題文を1段落読むたびに設問を確認して解いていく感じです。
また、問題集の長文だけではなくネットで閲覧できるスペイン語のニュースなども読むようにしていました。
教材として使いやすいスペイン語ニュースサイトはこちらの記事でも紹介しています。
リスニング
受験結果:19.17 / 25 点
リスニングも問題集に載っている模擬問題8回分をすべて解きました。解いたあとは、スクリプトを読んで全文理解できるか確認したり、音声を繰り返し聞いたりして復習。
TAREA 3 だけリピートの形式が違うことに注意してください。他の TAREA は設問ごとにリピートされますが、TAREA 3 のみ設問1〜6が一通り流れたあと、再度設問1〜6が流れます。
TAREA 3 はニュースのリスニングで、個人的には一番難しいと感じている問題。固有名詞の聞き取りが難しいんですよね。。しかも今回の試験では TAREA 3 はアルゼンチンのアクセントだった。
B1 の試験問題ではスペインだけではなくメキシコやアルゼンチンのアクセントも出てくるので、自分が慣れていないアクセントにもよく慣れておいた方が良いと思います。
私はアルゼンチンアクセントが苦手なのにも関わらずちゃんと聞き込んでいなくて、試験では結構焦りました。
短時間で設問を把握するトレーニングを
リスニング試験のやっかいな点は、設問を読む時間が非常に短いところです。
なのでリスニングは設問をいかに素早く読んで把握するかが肝です。たぶんこれが一番重要。
私は勉強中はいつも読解の余った時間でリスニングの設問を読んでいて本番もそうするつもりだったんですが、試験本番は読解に思いのほか時間がかかってリスニング問題の先読みができませんでした。これは悲劇でした。
設問を先に読めていないと音声を聞きながら設問を読まざるを得ず、かなりつらいです。音だけに集中できなくてパニックになります。
一応、インストラクションが流れている時間&読む時間として与えられる30秒はあるんですが、それだけで読み切るのはかなりきつい。というか、そういうトレーニングをしてなかった。。しかも EDELSA だと音声の都合上そういう練習ができない。
実は私は A2 受験のときも同じ状況になっていて、読解中に先読みするつもりだったのに結局できずにリスニング中に慌てふためきながら設問を読んでいたという。学習できてない。笑
今思えば、読解の余った時間を頼りにするのではなく、リスニング時間の中でいかに設問を読む時間を捻り出すか、どのように短時間で設問内容を把握するか、という対策をしたほうが良かったかなと思っています。
この記事を読んでくれている方には、ぜひともそういうトレーニングをおすすめしたい。それで、読解時間が余ったらラッキーというくらいに考えておいた方が安心だと思います。
リスニング練習に使った音声
問題集付属のリスニング音声
一番聞き込んだのは問題集のリスニング音声です。試験で流れるスペイン語に一番近いので、やはり一番聞き込むべきだと思う。
スクリプトで全文意味を確認したあとは、何度も繰り返し聞いたり、スクリプトを見ながらオーバーラッピングをしていました。
TED en Español
TED はだいたい15〜20分くらいのプレゼンテーション動画です。字幕やスクリプトのあるものから、興味のある動画をいくつか選んで聞いてみると良いと思います。
動画サイトと Podcast があります。
動画TED Talks en Español | TED Talks
PodcastTED en Español Podcast | Podcasts | TED
プレゼンターの出身地もさまざまなので、アクセントも多様なものが聞けます。
次々に新しいものを聞くのではなく、3〜5個くらい動画を選んで何度も繰り返して聞くのがおすすめです。徐々に、細部まで聞き取れるようになる感覚があります。
El hilo
El hilo はラテンアメリカの時事的なテーマを深掘りして30分ほどにまとめた Podcast です。
内容・語彙ともに B1 のレベルはちょっと超えていると思いますが、毎回テーマが非常に興味深く勉強になることが多いので好んで聞いています。サイトにスクリプトもあるのがありがたいところ。
週に一度の配信なので、同じエピソードを何度も繰り返して聞き、だいたい理解できるようになったところでスクリプトを見て改めて内容を確認するというルーティーンでやっていました。
ラテンアメリカのアクセントを聞きたい、ラテンアメリカの時事問題に興味がある、他の音声は聞き尽くしたので余力がある、という方はよければ聞いてみてください。
CNN 5 Cosas
CNN 5 Cosas - Podcast on CNN Audio
CNN のスペイン語ニュースで、1エピソード5分程度の短いものです。リスニングの TAREA 3 に似た形式で流れるので、ニュースリスニングの練習には良いと思います。世界のニュースも知ることができます。
ただ、CNN のサイトを探してもスクリプトが見当たらず、内容が確認できないのがデメリットです。(もしかしたらどこかに載っているかもしれませんが、探した限り見つかりませんでした。。)
サイトはこちらです。
5 cosas: noticias 5 cosas. Últimas noticias de CNN
作文
受験結果:16.67 / 25 点
問題集に載っている問題のうち、4題は作文を書いたあとに DELE 試験官の資格を持つ講師に添削してもらいました。
その他の問題は自習で、添削内容を意識して作文をしたあと必要な文法や単語を調べたりなど復習する感じにしていました。
作文練習をするときは毎回下書き用紙と解答用紙(公式サイトからダウンロード可能)を準備して、ボールペンで清書するという念の入れようで準備しました。笑
自分の中では結構ちゃんと対策したつもりだったのに、スコア的には一番低くてショック。。試験問題振り返り記事にも書きましたが、TAREA 2 の内容をうまくまとめきれなかったのが反省点です。
作文の試験時間は60分ですが、時間はかなり追われながら書くことになります。なので、出された課題に対して「何を書くか」をいかに早く決めるかが大事。迷ってる暇はない。
書くべき主張とその理由をすぐに決めて、作文の全体像を構想したらすぐに下書きに入ります。
課題の指示で書かなきゃいけない自分の経験なども事実である必要はないので、作文内での論理性や一貫性に気をつけて想像力豊かに書くことが重要です。
トレーニングとしては、問題集の課題を書いてみるしかないかなと思います。私の場合は、書く内容がすぐに思いつけば苦労なく書けるのですが、書く内容に困ると本当に書けない。。問題集の課題は一度書いたものでもいろんなパターンの展開・構想を短時間で練る練習をすると良かった気がします。
作文として書き上げるときは接続詞(連結詞)を使うと文章のまとまりと論理性が出やすいので、積極的に使うことをおすすめします。
もし、DELE の作文の書き方がまったくわからない場合は、DELE 試験対策のあるオンラインレッスンなどでまず最初に教えてもらうと良いと思います。
私が今回添削を受けた作文は、こちらの記事で紹介しています。
面接(口頭試験)
受験結果:23.75 / 25 点
面接対策としては、問題集の問題に対して独り言で答える練習をしていました。
TAREA 1 に関しては、準備時間で準備したうえで独り言でプレゼンの練習。
準備時間でメモをどのように書くかもシミュレーションしておくと良いと思います。私は言いたいことをスペイン語の文章でそのままメモしてしまっていたんですが、これは失敗。文章だと結局全部書ききれないし、本番のプレゼンでもメモをそのまま読むことになってしまいがちになりました。
メモは、プレゼンの構成やキーワード程度に留めておく方がおすすめです。A2 を受験したときは話したい内容を日本語のキーワードでメモしていましたが、今思えばそのほうが良かったかなと思う。
今回は面接官の顔を見るよりもメモに視線を落としながら話してしまう時間が長かったように思っているので、その点は反省です。そこまで大きく減点されてないみたいですが。
TAREA 2 に関しては、問題集に記載されている質問例を見てどう答えるかを頭の中でシミュレーション&独り言。
TAREA 3 も、写真を見て写真描写を独り言。
写真描写に関しては、A2 受験のときにかなり練習をしたので慣れてはいました。写真描写も定型があるので、自分の中で何をどういう順番で言うか定型を作っておくと良いと思います。
よくわからない場合はこちらを参考にしてください。
TAREA 4 に関しても、状況設定をイメージしながら問題集に記載されている質問例にどう答えるかをシミュレーション&独り言。
できれば実際にスペイン語ネイティブと話す練習をしたほうが良かったと思いますが、独り言を言ってみてだいたいこんな感じで言えそうかな~という感覚がつかめたので、今回は独学でやりました。
スコアも良かったようなので、独り言とシミュレーションの効果はあったと思います。
ちなみに第二言語習得論でも頭の中でリハーサルすることには意味があるとされています。言語習得の仕組みに興味があれば、こちらの本も見てみてください。
面接対策が独学でも大丈夫だったのは、以前の A2 受験のときにオンラインレッスンでかなり練習をしていたことも影響していると思います。DELE の受験自体が初めてで不安がある場合は、DELE 対策のできる講師とオンラインレッスン等で質疑応答の練習をしておくと本番でも力を発揮しやすいかなと思います。
EDELSA の B1 レベルを使った感想と難易度について
EDELSA の問題集は DELE 対策として有名で、使っている人も多いと思うんですが、今回の受験対策では微妙だなと思うことがありました。
※注)私が使用したのは2013年版で、現在の最新版は2020年版のようです。問題内容が変わっている可能性があり、以下の感想も最新版にはあてはまらない可能性がありますので、その点ご留意ください。
まず読解問題の難易度。
読解の TAREA 1 は、EDELSA の問題より試験の方がだいぶややこしく、解きにくかったです。文章自体の難易度というより、選択肢の選びにくさが段違いに違う。問題集の難易度の設定に疑問があります。
EDELSA には8題の練習問題が載っていますが、試験に比べるとどれも簡単すぎます。たまたま今回の試験が難しかったのかもしれませんが、8題載せるならもう少し難易度に幅を設けて、難しめの問題も載せるべきなんじゃないかと思う。
読解の他の TAREA については問題集と試験の難易度はほぼ一緒でしたが、TAREA 1 に関しては問題集のほうが易しいと認識しておくと本番でも慌てないと思います。
次にリスニング音声の収録方法。
EDELSA の音声は各設問が1回ずつ収録されているのみで、2回聞くには自分でリピート再生しないといけません。インストラクションの収録もなし。
なので、リスニング試験の完全な再現ができません。設問と設問の間にどの程度インターバルがあって、どのくらいの時間でどの程度設問が読めそうかとか、聞いた後にどの程度実際に考える時間があるか、みたいなシミュレーションは一切できません。この点はかなり微妙。
リスニング中に設問を素早く読むトレーニングもできません。
また、私は試験本番のときに初めて TAREA 3 のリピート形式が違うことに気づきました。独学じゃなければ誰か教えてくれたかもしれませんが。。
難易度自体は問題集と試験とで大きくは変わらなかったと思いますが、この音声の収録方法は問題集としては重大な欠点だと思います。
作文に関しては、模範解答はありません。これは他の多くの問題集もそうだと思うのでしかたないですね。どの問題集を使った場合も対策としては添削を受けることになると思います。
作文課題の難易度は試験と同等だと思います。様々なテーマ・バリエーションの課題が載っているのは良い練習になりました。
面接に関しては、面接官からの質問例などが載っていた点が良かったです。そのおかげで独学でもシミュレーションができました。(ただ、回答例は載っていません)
EDELSA の良い点としては、模擬問題の数が豊富な点、模擬問題がテーマ別になっていて強化がしやすい点、テーマ別に必要な語彙がまとめられている点が挙げられると思います。解答・スクリプトは別冊ですが、きちんと解説が書かれているのも良いところ。
ただ、リスニング音声のデメリットが大きすぎるので、試験のシミュレーションをしたい方には個人的にはあんまりおすすめしないです。。
El cronómetro は、リスニング音声は本番の形式を再現していて良いですよ。音声・スクリプトはサイトからのダウンロードです。収録されている模擬問題数は4回分+ウェブダウンロードの1回分で EDELSA よりも少ないですが、リスニング音声重視であればこちらのほうが良いと思います。
私は EDELSA と El cronómetro しか持ってないんですが、DELE 対策問題集は他にもいろいろあると思うので、できればいくつか候補を見たうえで決めると良いと思います。
セルバンテス東京のネット通販に揃っています。
DELE B1 対策 - セルバンテス書店 スペイン語洋書専門店 市ヶ谷インスティトゥト・セルバンテス東京内
まとめ:試験形式に則った準備を
DELE は試験の形式が決まっているので、とにかく問題集を解いて形式と解き方をつかんでおくことが重要です。
ある程度しっかり机に向かって問題集を解く時間を確保するのと、それ以外の隙間時間もできるだけスペイン語に触れておくと良いと思います。
作文や面接に関しては、DELE 受験が初めての場合はオンラインレッスン等で対策しておくと安心かもしれません。
私も A2 受験のときは不安がいっぱいだったのでたくさんレッスンを受けていて、その経験が B1 にも活きたという感じでした。