第18戦 大混乱の日本GP!レースと混乱要因を総振り返り
3年ぶりの日本GPが終わりました。
雨による赤旗中断、ポイント配分の謎、ファイナルラップのタイミング、全員よくわかってないままフェルスタッペン優勝...
と、まぁーいろいろありすぎて、いったい何から振り返れば...という感じではありますが。笑
今回は鈴鹿で現地観戦をしたので、現地の様子もまじえて振り返ってみたいと思います。
目次
雨による赤旗中断から、残り時間40分でレース再開
今回決勝の混乱を引き起こした要因の1つは天候でしょう。
決勝当日の予報は曇りのち雨。
いつ雨が降り始めるかが問題でしたが、実際は12時から始まったドライバーズパレードの途中で雨が降り出し、その後少しずつ雨が強くなっていきました。
クラシックカーに乗り込む角田くんとガスリー |
スタートは予定通り14時に行われたものの、水しぶきで視界はかなり悪く。1周目からサインツのクラッシュ、アルボンのマシントラブルがあり、セーフティカー出動。
同時に雨脚が強くなって3周目で赤旗。
その後レース再開のアナウンスがありましたが結局再開中止になり、なんと雨のなか2時間以上レース中断。。
このとき私はスマホで天気予報を何度もチェックしながらグランドスタンドで待ってましたが、その場の雨の降り方を見る限りレース再開は正直もう無理だと思いましたね。
いやぁ、だいぶ諦めてました。笑
が、残り時間が1時間を切ったくらいに「10分後にレース再開」のアナウンス!! 奇跡だと思いました。雨で冷えるなか2時間待っていたので、会場の拍手と歓声はすごかったです。
再開アナウンスの時点では雨はまだ弱まってないように見えましたが、再開後から一気に雨が弱まっていったように見えました。路面はどんどん乾いて水しぶきも減っていき、いつのまにか雨もやみました。
約40分という短いレースとなりましたが、再開のタイミングとしては絶妙だったと思います。
雨の短縮レースは残念だったし待ち時間は長かったですが、短時間でもレースが行われて、再開後もタイヤ交換やオーバーテイクの見どころがあって、短い中でも濃いレースとなりました。
レース中の見どころ振り返り
角田くんはQ2進出、1周目に9位浮上も、13位フィニッシュ
今回アルファタウリは、フリー走行ではあまり良さそうではありませんでしたが、角田くんは予選でQ2進出! 大きな拍手が起こっていました。
決勝では13番手からスタート。1周目で順位を9位に上げました。
赤旗中断から再開後は、他の多くのマシンと同様に3周目にインターに変えましたが、その時点で1周目にインターに変えていたベッテルとラティフィに抜かれ、その後走るなかでもペースが徐々に落ちていたようでもう一度ピットストップ。
タイヤを新しいインターに変えてからは良いペースでタイムを刻み、オーバーテイクも見せてくれましたが、入賞圏内まで行くには時間が足らずに最終的には13位で終了。
ピットストップせずに走り続けるか、もう少し早いタイミングでピットストップしていれば、という状況で、なんとも中途半端なタイミングでピットストップしたね、、という感じになってしまいました。残念。
ただ、状況判断は非常に難しかったと思うので、今回はそこまでチームを責める気にはならない。
レース後のインタビューを聞くと、角田くん的にはもっと早く自分からタイヤを交換したいと言えばよかったと思ってたのかな。そんな風に受け取りました。
ポイント獲得が目標だったと思うので13位は本人的には残念だとは思いますが、観客としては目の前で走っているのを見られてすごくうれしかったし、よく走っていたと思う!
雨で中断中、ガレージから出てきてグランドスタンドに手を振ってくれたりもしました。ありがとう。
レース再開後はインターへの交換タイミングが重要だった
赤旗からのレース再開時は全車がウェットタイヤで出ましたが、セーフティカー終了後すぐにベッテルとラティフィがインターに変えました。
結果的にはこれがすべてだったと言えますね。
そのおかげでベッテルは6位入賞。ラティフィは9位で今年初入賞。
ただこれは、やはり下位スタートだったからできた判断でしょう。
再開時に上位にいたチームはそこまでのリスクは取れなかったのは仕方ない。角田くんも9番手だったし、アルファタウリとしてもいきなりギャンブルはできないよね。
あとで放送を見返したら、再開時のセーフティカー中にフェルスタッペンがインターに変えたいけど変えたら大惨事になるよねって無線で言ってたんですね。
やっぱり路面的には最初からインターだったんですね~。
※現地実況では無線の英語がよく聞き取れずに「disaster って聞こえたから、この雨での再開を不安視しているのかもしれない」っていうアナウンスでした。
これは、ベッテルとラティフィ(ウィリアムズ)の好判断が素晴らしかったと言うしかないですね!
ラティフィは今季で終了だから、ポイント獲得できてよかったですね。
ルクレールとペレスの2位争い
ルクレールとペレスの、最後にかけての争いがすごかったですね~。
ルクレールのペースが上がらず、ペレスにどんどん追いつかれて。
最後にルクレールがミスしてショートカットして5秒ペナルティを受けてペレスと順位が入れ替わってフェルスタッペンが優勝するという。笑
今年のフェルスタッペンのチャンピオン獲得も昨年と同じようにペレスに大きく助けられた形になりました。
雨でDRSが使えない状況だと、やっぱり鈴鹿は近づけてもオーバーテイクが難しそうですね。
ベッテルとアロンソの6位争い
ベッテルとアロンソの最後のコントロールライン通過時の争い。すごかった。
After hours in the pouring rain, Suzuka's fans got to see two legends cross the line separated by just 0.011s on Sunday 🤯
— Formula 1 (@F1) October 10, 2022
🎥 x @Tomo__moto_ #JapaneseGP #F1 pic.twitter.com/nT5sbKf7ke
グランドスタンドでその瞬間は見ましたが、完全に並んでいて私の位置からはどちらが先だったのかはわかりませんでした。
あそこまで追いついたアロンソもすごいし、最後までなんとかスピードを振り絞ったベッテルもすごい。
アロンソは、後でチームも言っていましたがあと1周あったら~という感じでしたね。
ベッテルの今回のQ3進出と決勝スタート1周目で最下位に落ちながらも6位入賞というのは、なんというか劇的というか。本人は鈴鹿が好きと公言してくれてますし、その思いもあったのか素晴らしい結果になってよかったと思います。
フェルスタッペン優勝おめでとう
で、フェルスタッペン。世界中の人々と同様にここでチャンピオンを獲得できるとは思っていなかったようですが、チャンピオンが決まりました。
Number ☝️ He's done it again 👑 pic.twitter.com/KMdnSDjzh5
— Oracle Red Bull Racing (@redbullracing) October 9, 2022
昨年のハミルトンとの争いに比べたら、今年は余裕だったんじゃないでしょうか。
相手は戦略が致命的なフェラーリだし、バトるのも基本クリーンなルクレールだし。昨年感じたであろうストレスに比べたら全然ですよねきっと。
4戦残してのチャンピオン決定はいかに圧倒的だったかを物語ります。
あとはコンストラクターズですが、こちらも取るんじゃないでしょうか。
その他感想
ミックは今回FP1終了後のラップでクラッシュしてて、あーあ...って思いました。今後の契約がかかっているときなのに。
ミックは応援していたけど、さすがにクラッシュしすぎでちょっと厳しいんじゃないかと今回は思いました。
周くんは初のファステストラップ獲得。入賞圏外だったのでポイントにはなりませんが、良かったですね。
ガスリーのマシンに看板が吹っ飛んできたのにはかなりびっくりしました。あれは Oh my god... だよね。。
ガスリーのマシンに引っかかった看板 |
ガスリーは今回予選でブレーキの問題によるミスがあり、決勝はガスリー希望の雨でしたが結局最下位でのフィニッシュとなってしまいました。
看板のせいで赤旗再開時は下位からだったので、ベッテルやラティフィのようにここでギャンブルに出れていればというたらればが出てしまいます。
短縮レースなのにフルポイント? 今回のポイント配分と混乱の理由
日本GPは本来53周のレースでしたが、赤旗による長時間の中断により既定の周回数ではなく規定時間(スタートから3時間後)で終了するレースとなりました。
今回走ったのは28周でフルポイントは付与されないと考えられていましたが、実際にはフルポイントが付与されました。その経緯を振り返ります。
昨年までは、既定周回数の75%未満はハーフポイント
もともと昨年までは、既定周回数の75%に達しない場合はハーフポイントというルールがありました。
が、昨年のベルギーGPが大雨の中セーフティカー先導で3周しただけでレース成立とされ、このときにハーフポイントが付与されたことが問題になりました。
3周しか走ってないのにハーフポイントも付与されるのはおかしいだろと。
※レースは2周以上で成立となります。レースを成立させるためにセーフティカー先導で3周走って無理やり成立・終了させたということも批判されました。
その結果、既定周回数に達しない場合のポイント配分ルールが改訂されることになりました。
ポイント配分ルール改訂の穴
ポイント配分ルールの改訂により、今年からは、走った周回数に応じて付与されるポイントが変動することになるはずでした。
- 2周~25%未満の場合
- 25~50%未満の場合
- 50~75%未満の場合
- 75%以上を完了した場合
というそれぞれのケースに応じて、各順位のポイントが細かく変わるはずでした。
少なくとも改定の時点では、周回数に応じて付与ポイントを変える意図があったと思われます。
が、実際のレギュレーションでは、レースが中断され、再開されなかった場合という但し書きがされていました。
つまり、今回のように「中断後に再開されたが、既定周回数に達しなかった」という場合の規定が抜け落ちていたということ。
昨年までは「75%未満はハーフポイント」というルールがあったので、完全な穴ですよね。笑
52.8%の周回を完了したが、ルールの穴によりフルポイント付与
今回の日本GPでは53周のうち28周を走ったので既定の52.8%が完了していました。
改訂ルールの但し書きがなければ、また、昨年までのルールを踏まえて常識的に考えれば、50%~75%の場合のポイント配分がなされると誰もが考えた。
しかし改訂ルールを厳密に適用すると、今回は「レースが中断され、再開されなかった場合」に該当しないので、フルポイントが付与されるという結果に。
現地の実況でも、この但し書きをないものとしてポイント配分が説明されており、レース中は終始「このままの周回数ではチャンピオン獲得はならず」というテンションの実況・解説でした。
ペレスとルクレールの2位争いもありましたが、この結果がどうであれ「チャンピオンは決定なし」というのが現地実況の認識でした。
が、レース終了直後にルクレールのペナルティが発表され、なぜかフェルスタッペンがチャンピオンの表示。
え??? ですよね。笑
現地も当然混乱していましたが、後から知りましたが世界中で混乱していたようですね。
結局、フルポイント付与で1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレールというチャンピオン獲得条件が達成されたことになり、フェルスタッペンのチャンピオンが決定したという。
昨年に続いて、何年経っても忘れられなさそうなすごい展開となりました。
レース中、公式映像でフルポイント表示はされていた
あとからDAZNでレースを見返したところ、レース中に「このままいくと、このポイント」という公式表示がフルポイントで出されていましたね。
あれっフルポイントで表示されてたんだ! と思いましたが、サッシャさんの実況では「フルポイントじゃないと思うんですけどね~(表示が間違ってると思う)」という触れ方。フジテレビでも、表示が間違いだという認識だったようです。
現地では公式映像はスクリーンで流れますが文字情報は小さくて読めず、現地実況ではその情報を拾ってくれなかったので、知りませんでした。
現地実況はこの件に限らず公式映像で表示された文字情報をきちんとフォローしてくれず、その点はかなり不満でした。
DAZNとは異なり無線も一部しか取り上げてくれず、その点も不満。現地解説の佐藤琢磨氏が一部の無線は訳して解説してくれましたが、実況は流れた無線は基本スルーで、ドライバーたちが何をどう伝えていたかは現地ではほとんどわかりませんでした。
表示してるのにみんなに間違いだと思われる公式表示への信頼のなさって。。笑
ただ公式(FIA)は、フルポイントの表示を出すくらいなら「このレースではフルポイントが付与されます」という一文くらい入れてよねと思いました。
そしたら、表示が間違いではなく何らかの理由によるものか? と実況・解説陣も考え始めて理由を探し始めたのではないでしょうか。
DAZNのサッシャさんは、放送終了直前にレギュレーションの英語原文を読んで「この但し書きが原因では?!」と気づいていましたね。
レースはどの周で終わるのか? ファイナルラップの認識の違い
今回、どの周がファイナルラップなのか、いつレースが終了するのかについても認識の違いがあったと思われます。
公式映像では、フェルスタッペンのゴールシーンは放送されませんでした。映像担当者が、その周でフィニッシュだと認識していなかった可能性があります。
またDAZNのサッシャさんも、ファイナルラップの表示が出た後に、あと1周あるはずなんだけど... という認識でした。
私もレース終了後にいろいろ調べたり、レギュレーション原文を読んだりしましたが、
結論としては、今回は「スタートから3時間経った周回がファイナルラップとなる」3時間ルールが適用されたという理解になります。
この3時間ルールとは別にいわゆる2時間ルールがあり、2時間ルールの場合は「スタートから2時間経った周回の次の周回がファイナルラップとなる」ことになります。
公式映像の担当者やサッシャさん、また一部のチームは、この2時間ルールの想定でもう一周あると理解していたと思われます。
2時間ルール
- レース時間は最大2時間とするという規定
- 2時間経った周回の次の周回がファイナルラップ
3時間ルール
- レースの中断があった場合、レース時間は最大3時間とするという規定
- 3時間経った周回がファイナルラップ
今回は赤旗中断があったので、3時間ルールの適用となりました。
ただ、2時間ルールと3時間ルールの終了タイミングの違いがあやふやで、混乱が起きていたと思われます。
28周でチェッカーフラッグは振られてはいましたが、報道によるとフェルスタッペンはその後もプッシュを続けたようですし、ルクレールもレースが終わったかどうか確認の無線を入れていました。アルピーヌももう1周あると考えていたようです。
今回最終周となった28周目に入るとき、フェルスタッペンがコントロールラインを通過した時点では3時間まで残り5秒くらい残っていました。なので、もし2時間ルールが適用されていた場合は、28周目に時間制限が来てその次の29周目が最終になります。
ちなみに現地実況ではファイナルラップが正しくアナウンスされましたが、その根拠は間違っていました。
現地実況では、フェルスタッペンが残り5秒残してラインを通過したからもう1周(28周目)を走れた、もう少し遅かったらそこで(27周で)終了になっていた、というアナウンスをしていましたが、これは2時間ルールを誤って理解していたために結果的に正しいファイナルラップのアナウンスになっていたという状況ですね。笑
今回は3時間の時点で終了なので、フェルスタッペンがいつラインを通過しようが関係なくレースは28周で終了したという理解が正しいです。
私は「この周がファイナルラップだ」という現地実況を聞きながら、サッシャさんと同じ理解で「え、もう1周あるのでは?」と思っていましたが、実際には本当にその周で終わりチェッカーフラッグが振られたのでちょっと意外でした。
あれ、自分の認識違いだったかな? と。でもあとでDAZN見たらサッシャさんも同じこと言っていて、あれ? と。
結局、2時間ルールと3時間ルールで終了タイミングが違うということでした。なんとまぁ紛らわしい。
とにかく、非常に濃い週末となりました。
2022年第18戦日本GP結果
順位 | ドライバー | 所属 |
---|---|---|
1 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル |
2 | セルジオ・ペレス | レッドブル |
3 | シャルル・ルクレール | フェラーリ |
4 | エステバン・オコン | アルピーヌ |
5 | ルイス・ハミルトン | メルセデス |
6 | セバスチャン・ベッテル | アストンマーティン |
7 | フェルナンド・アロンソ | アルピーヌ |
8 | ジョージ・ラッセル | メルセデス |
9 | ニコラス・ラティフィ | ウィリアムズ |
10 | ランド・ノリス | マクラーレン |
11 | ダニエル・リカルド | マクラーレン |
12 | ランス・ストロール | アストンマーティン |
13 | 角田裕毅 | アルファタウリ |
14 | ケビン・マグヌッセン | ハース |
15 | バルテリ・ボッタス | アルファロメオ |
16 | 周冠宇 | アルファロメオ |
17 | ミック・シューマッハ | ハース |
18 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ |
NC | カルロス・サインツ(DNF) | フェラーリ |
NC | アレックス・アルボン(DNF) | ウィリアムズ |
* ファステストラップ
NC: Not Classified
DNF: Did Not Finish
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